パソコンが熱くなる原因

パソコンが熱くなると、自分の使い方が悪いのか機械的な故障なのか、不安になる方は少なくありません。

ここでは、その原因を体系的に解説します。読み進めることで、パソコンが熱くなる原因は一つではなく、複合的であることを理解し適切な対策を取れるようになるでしょう。

パソコンに高い負荷がかかっている

動画編集やゲームなどの負荷の高い作業は、CPUやグラフィックボードに高い負荷がかかり、これらのパーツが高い熱を発する可能性があります。

CPUは、パソコン全体の処理を担う重要なパーツで、グラフィックボードは画像や映像処理に特化したパーツです。

性能が高ければ、処理をスムーズに行えるため無駄な負荷が発生しにくく、結果として熱がこもりにくくなる傾向があります。一方、使用用途に合わないスペックを選ぶと、パソコンに負荷がかかりやすくなるため注意が必要です。

長時間使用している

パソコンには、金属製のヒートシンクや冷却ファンの効果など、熱を逃がすための冷却機能が備わっています。

しかし、負荷の高い作業を長時間続けると、これらの冷却機能の働きが追いつかなくなる可能性があります。

特に連続して使用する際は、内部温度の上昇がパソコンの寿命や安定性に影響を与えることもあるため注意しましょう。

室温が高い

パソコンが置かれている室内の温度が高いことも、発熱を助長する原因となります。

冷却ファンは、外部の冷えた空気を取り込んで内部を冷やす仕組みです。そのため、高温の室内で負荷の高い作業を行うと、内部にこもった熱を効果的に外へ逃がすことが難しくなります。

また室温が高い環境では、同じ作業をしていても内部温度が上がりやすく、パソコンの寿命に影響を及ぼす可能性があります。

快適に使用するためには、室温を適切に保つことも重要なポイントです。

冷却ファンが適切に作動していない

パソコン内部は熱がこもりやすいため、高い負荷がかかる作業に対応できるように、冷却ファンが内蔵されています。

しかし、冷却ファンの性能低下や故障によって適切に作動しない場合、パソコンが熱くなることがあります。

また温度を感知するセンサーが故障することも、冷却ファンが正しく作動せず、熱がこもったままになる要因の一つです。

排熱がうまくできていない

パソコン内部の熱は、通気口やファンを通して外へ排出される仕組みです。

しかし通気口にほこりが溜まっていたり内部のエアフローができていなかったりすると、冷たい空気がうまく取り込めず、熱を外へ逃がす効率も低下します。

特にパソコンは長期間使用していると徐々にほこりが蓄積しやすく、気付かないうちに通気性が悪くなる場合もあります。

その結果、内部に熱がこもりやすくなり、通常の作業でも温度が上がる可能性があるため注意しましょう。

パソコンが熱くなったまま放置するリスク

パソコンが熱くても問題なく動いている場合、このままでも大丈夫だろうとその状況を軽視し、放置してしまう方も少なくありません。

しかしそのまま放置すると、次のようなリスクが生じる可能性があります。

• 冷却ファンの騒音増加
• 熱暴走
• 部品ダメージ
• 起動不能

それぞれのリスクを理解し、適切な対策を取ることが重要です。

冷却ファンの音が大きくなる

パソコン内部の温度が上がると、冷却ファンが温度を下げようと回転数を上げるため、普段よりも音が目立つことがあります。

通常の場合は異常音ではなく、温度が下がれば回転数も下がり、音も落ち着くでしょう。

ただし冷却ファンや通気口にほこりが溜まると、ファンがうまく回らず、音が落ち着くまで時間がかかる場合があります。

熱暴走が起こる可能性がある

パソコンが高温のまま放置されると、動作が不安定になり、ソフトウェアが急に停止する熱暴走が起きることがあります。

熱暴走が起きた場合は、パソコンをシャットダウンして内部の温度を下げる必要があります。場合によってはハードウェアにダメージを与え故障につながるため、注意が必要です。

さらに、熱暴走は作業中のデータが消失する原因にもなるため、業務や作業への影響が大きくなることも考えられます。

熱で部品がダメージを受ける

パソコンは精密機械のため、高熱に弱い傾向があります。熱を十分に下げられない状態が続くと、基盤の回路や部品に影響を及ぼすことも少なくありません。

特に、CPU・グラフィックボード・電源・HDDやSSDなどは発熱しやすい部品です。過剰な発熱により、通常よりも早く故障する可能性も考えられます。

故障した場合、修理が難しく、場合によっては買い替えなければならなくなるでしょう。

起動しなくなる可能性がある

内部の温度が高い状態が続くと、パーツが正常に動作できなくなり、突然フリーズしたり起動しなくなったりする恐れがあります。

作業中のデータも保存されないまま失われるというトラブルにもつながるため、放置しないことが大切です。

パソコンが熱くなるのを防ぐには？

パソコンが熱くなるのを防ぎ、さまざまなトラブルを避けることは可能です。長く快適に使用するためには、以下の対策を意識しておきましょう。

• こまめにほこりを取り除く
• 室温を適切に保つ
• 使用していないソフトはこまめに終了する
• 長時間の連続使用を避ける

後悔しないよう、パソコンの適切な対策を覚えましょう。

こまめにほこりを取り除く

パソコンの加熱を防ぐためには、通気口や内部に溜まったほこりをこまめに取り除くことが重要です。

ノートパソコンは持ち運べるため掃除もしやすい一方、デスクトップパソコンは設置場所によっては通気口が見えにくく、気づかないうちにほこりが溜まってしまうことがあります。

定期的にほこりの有無を確認し掃除することで、排熱機能の低下を防ぐことが可能です。

吸気口はやわらかい布やブラシを使用し、優しく汚れやほこりをふき取ります。こびりついたものは、エアダスターのスプレーを使用すると、吹き飛ばせるでしょう。ウェットティッシュでこすり取った場合は、水滴が残らないように注意する必要があります。

冷却ファンは、エアダスターで吹き飛ばすことで、ほとんどのほこりを取り除けます。

ただし、デスクトップパソコンとノートパソコンではお手入れ方法が異なるため、故障を防ぐためには事前に確認することが重要です。

適切な室温を保つ

パソコンにとって適切な室内温度は、10～35度とされています。パソコンは、高温にも低温にも弱い精密機器です。室温が適切でないと、故障につながることがあります。

また、パソコンの動作保証温度は、50度ほどとされています。室内の温度が適切でも直射日光が当たる場所にあると、パソコン本体の温度が急上昇しやすいため注意が必要です。

使用していないソフトはこまめに終了する

インストールしたソフトのなかには起動していなくてもバックグラウンドで常駐しているものがあり、CPUやメモリを消費して、パソコンに余計な負荷を与えてしまうことがあります。

その結果、処理速度が低下したり、パソコンが熱くなったりする可能性があるでしょう。

特に使用されていない場合、アップデートされていないことも少なくありません。それがパソコンに悪影響を与えることもあります。

不要なソフトはアンインストールし、常駐ソフトの見直しを行うといった管理が必要です。

長時間の使用を避ける

長時間の連続使用はパソコンに負荷をかけ、内部の温度を上昇させます。人間と同様に、パソコンも定期的な休息が必要です。

数分程度の休息であればスリープモードを利用することも効果的です。長時間使用しない場合は、無駄な動作を防ぐため、シャットダウンしておきましょう。

パソコンが熱くなってしまったときの対処法

パソコンが熱くなると焦ってしまいがちですが、落ち着いて正しく対処すれば、症状が改善することがあります。

パソコンが異常に熱くなっていると感じたら、まず電源を切って負荷を止めることが必要です。操作ができる場合は通常のシャットダウンを行い、フリーズして反応がない場合は、電源ボタンの長押しで強制終了します。

冷蔵庫に入れたり保冷剤を当てたりなどの急激な冷却は、結露による故障を引き起こす可能性があります。風通しのよい場所に置いて、自然に温度が下がるのを待ちましょう。

温度が下がったら再度電源を入れて、負荷の高いアプリケーションが動作していないかを確認します。

動画編集ソフトやゲーム、ブラウザの大量タブは、CPUやメモリを消費して加熱の原因になります。

また、バックグラウンドで動く常駐ソフトのなかにも不要なアプリケーションがある場合は、終了することが負荷の軽減に効果的です。

加えて、通気口まわりの環境も見直す必要があります。壁との距離が近い、ほこりで通気口がふさがっているなど、空気の流れが妨げられると内部に熱がこもりやすくなります。

利用する場所にも注意が必要です。膝の上や布団の上などは熱がこもりやすい場所です。デスクの上のように風通しのよい場所で使用することで、過度な加熱を防ぎやすくなります。

パソコンを効率よく冷却する方法

自然に熱が下がるのを待つことが基本ですが、仕事や学業でパソコンを使用している場合、待てないこともあるでしょう。

そのようなときに役立つのが冷却グッズです。本体の下に置くことで熱を吸収する冷却パッドや、ノートパソコン用クーラーなど、パソコン専用の冷却アイテムがあります。

また、専用スタンドでパソコンとデスクの間に空気の通り道を作ることで、耐熱効率を高めることも可能です。

さらに、パソコン内部の冷却方式にも注目するとより効果的です。一般的には空冷と液冷の２種類があります。

空冷は、ファンで熱を外に逃がす方式です。構造がシンプルで安く、設置やメンテナンスも簡単とされています。ただし、ゲームや動画編集などの作業が多い場合は、十分に冷却できない可能性もあるでしょう。

一方液冷は、水のような液体で熱を吸い取り、ラジエーターで外に逃がす方法です。高負荷作業でも十分に冷えるうえに、音も静かであることがメリットです。ただし、空冷よりもコストがかかり、設置に手間がかかります。

ただし、どの方法も根本的な解決にはなりません。パソコンが熱くなる原因を見極め、適切な対処を行うことが重要です。

対策してもパソコンが熱くなる場合は買い替えが必要？

対処法を試しても改善しない場合は、長期使用による内部劣化や性能不足、冷却機構の限界などの原因となっている可能性があります。

まずはメーカーに相談してみましょう。保証期間内であれば、無料修理や部品交換が受けられる場合があります。

ただし、多くのメーカーの保証期間は購入後1年前後であることが少なくありません。期間が過ぎていると修理費が高額になるケースもあります。

さらに、修理には1～2週間程度かかることもあり、仕事や学習でパソコンが必要な方にとっては大きな負担となるでしょう。

修理費用が高い、修理期間が長い、または性能不足が感じられる場合は買い替えを検討するタイミングです。

とはいえ、新品のパソコンを買い替えるのは費用面で不安という方もいるでしょう。

信頼できる販売業者を選べば、中古パソコンでも安心感をもって購入できます。適切に整備された中古パソコンは、必要な性能を新品よりもお得に手に入れられる選択肢です。

パソコンが頻繁に熱くなるなら

頻繁に熱暴走が起こり、仕事や勉強に支障が出ている場合、早急に解決したいと考えるのは自然なことです。

熱問題は、性能不足や内部パーツの劣化、内部構造の限界などが原因の場合が少なくありません。

通気口のほこりを定期的に取り除いたり、長時間の使用を避けて使用していないソフトはこまめに終了したりなどの対策をしても頻繁に起こる場合は、買い替えることをおすすめします。

その場合、新品以外にも中古パソコンという選択肢があります。中古パソコンは、安価で購入できる一方で、性能面に不安という方もいるでしょう。

そのため、信頼できる販売業者から購入することが重要です。