経理部門で使用するパソコンは、業務効率に直結する重要なツールです。会計ソフトやExcelを使った複雑な処理、クラウドサービスの利用など、多様な作業をストレスなくこなせるスペックが求められます。

本記事では、中古パソコン直販がCPU・メモリ・ストレージといった基本性能から、ソフトごとの必要スペックや選定時のチェックポイントまで体系的に解説します。

経理業務に必要なパソコンのスペックとは

経理業務では、数字の入力や複雑な計算の正確で迅速な処理が必要です。そのため、パソコンの性能が不足すると処理速度が落ち、業務効率の低下を招く恐れがあります。

ここでは、経理向けパソコンに必要な基本スペックの全体像を確認していきましょう。CPU・メモリ・ストレージの三つの要素を理解することで、自社の業務に適した一台を選ぶ基準が明確になります。

CPUの選び方

CPUはパソコンの頭脳にあたる部分で、経理業務の処理速度を大きく左右します。会計ソフトやExcelで複雑な計算を行う際、CPUの性能が不足していると処理に時間がかかり、業務が滞ってしまうでしょう。

ここでは、経理業務に適したCPUの選び方を、推奨モデル・世代の違い・複数ソフト利用時の基準という三つの観点から解説します。

Intel Core i5以上を推奨する理由

経理業務では、Intel Core i5以上のCPUを選ぶことが推奨されます。Core i5は性能とコストのバランスに優れており、Excelでの集計作業や会計ソフトの仕訳入力をスムーズにこなせるでしょう。

Core i3でも基本的な事務作業には対応できますが、会計ソフトの動作が重くなる場面や、大量のデータを扱う処理では性能不足を感じる可能性があります。

一方、Core i7は8コア16スレッド以上の高性能を誇りますが、日常的な経理業務ではCore i5との体感速度の差は小さく価格が高くなる分コストパフォーマンスは下がります。

経理作業に影響する「世代」の違い

CPUは同じCore i5でも、世代によって性能差が格段に大きいです。第10世代と第13世代では処理速度に明確な差があり、新しい世代ほど省電力性能や処理効率が向上しています。

経理業務では帳簿の読み込みや集計処理が頻繁に発生するため、世代の違いが作業時間の短縮に直結します。中古パソコンを選ぶ際は、CPUの世代表記を確認しましょう。

型番の数字で世代を判別でき、例えばCore i5-1334Uなら第13世代、Core i5-10210Uなら第10世代を示します。

法人として複数台を導入する場合、世代の統一も重要な観点です。同じ世代のCPUで揃えることで、社員間の作業環境を均一化でき、サポートやメンテナンスの効率も向上します。

複数ソフトを同時に使う場合のCPU基準

経理担当者は、会計ソフトとExcelを同時に開き、さらにブラウザで調べものをしながら作業するケースが多くあります。

このような複数ソフトの並行利用では、CPUのコア数とスレッド数が動作の快適さを左右するでしょう。

Core i5の6コア12スレッド構成なら、複数のソフトを開いても処理が滞りにくく、ストレスの少ない環境を実現できます。

給与計算ソフトや勤怠管理システムも同時に使用する場合は、CPUへの負担がさらに増すため、Core i5以上の性能が不可欠です。

必要なメモリ数の選び方

メモリは、パソコンが同時に処理できるデータ量を決める重要な要素です。経理業務では複数のソフトやファイルを同時に開くことが多く、メモリ容量が不足すると動作が遅くなり、業務効率が低下します。

ここでは会計ソフトやExcel作業に必要なメモリ容量、複数タブ利用時の快適性、増設の可否という三つの視点から解説します。

会計ソフト・Excel作業に必要なメモリ容量

会計ソフトやExcelを快適に使うには、8GBのメモリが必要です。8GBあれば、基本的な帳簿作成や仕訳入力、簡単な集計作業はスムーズに行えます。

ただし、大規模なExcelファイルを扱う場合や、会計ソフトの動作が重いと感じる場合は16GBに増やすことでストレスが大幅に軽減されます。

特に法人向けの会計ソフトは、データベースを参照しながら処理を行うため、一定のメモリ容量が求められるでしょう。

複数タブを開いても快適に動くかどうか

経理業務では、ブラウザで複数のタブを開きながら会計ソフトやExcelを同時に操作するケースが頻繁にあります。

この場合、メモリが8GBでは不足し、動作が重くなる恐れがあります。16GBあれば、10個以上のタブを開いた状態でも快適に作業でき、ソフト間の切り替えもスムーズです。

また、リモート会議ツールを使いながら資料を作成する場面でも、メモリ容量は重要です。 ZoomやTeamsはメモリを多く消費するため、会議中に会計ソフトやExcelが重くなるケースがあります。

16GBのメモリがあれば、こうした複数の作業を同時進行してもストレスなく対応できます。

メモリが増設可能かどうか

パソコンを選ぶ際は、メモリの増設が可能かどうかも重要なチェックポイントです。初期状態で8GBを搭載していても、将来的に16GBへ増設できるモデルなら、業務拡大に応じて柔軟に対応できます。

特に法人用パソコンは拡張性が高く、メモリスロットに空きがある機種が多いため、増設のしやすさも選定基準に含めましょう。

中古パソコンでも、法人向けモデルは拡張性に優れた設計が多く、コストを抑えながら長期利用できる点が魅力です。

メモリスロットの仕様や増設可能な容量を事前に確認し、自社の業務に合った選択をすることが重要になるでしょう。

ストレージ容量と種類（SSD・HDD）の選び方

ストレージは、データの保存先となる重要な部分です。経理業務では、会計データや過去の帳簿を長期間保管する必要があるため、容量と読み書き速度の両面から適切な選択が求められます。

ここでは、SSDとHDDの特徴を比較しながら、経理向けに適したストレージの選び方を解説します。

SSDのメリット・デメリット

SSDは、データの読み書き速度が大変速く、パソコンの起動や会計ソフトの立ち上がりも非常に快適です。

経理業務では、会計ソフトを頻繁に開閉するため、SSDの高速性が作業効率の向上に直結します。例えば、Excelファイルを開く際の待ち時間が短縮され、データの保存処理もスムーズです。

一方、SSDのデメリットとして、大容量モデルになると価格が高くなる点が挙げられます。HDDと比較すると、同じ金額で購入できる容量が小さくなるため、コストパフォーマンスの面では劣ります。

経理業務で必要なデータ量を見極め、適切な容量のSSDを選ぶことが重要です。

HDDのメリット・デメリット

HDDのメリットは、大容量を低価格で確保できる点です。同じ金額で比較すると、SSDの数倍の容量を持つHDDを購入できるため、過去の帳簿データを大量に保管する用途に適しています。

ただし、HDDは物理的な部品が動作するため、データの読み書き速度がSSDに比べて遅く動作音も発生します。

現在の主流は、システムやソフトをSSDに入れ、データ保存用にHDDを併用する方法です。この構成なら、高速性と大容量の両方を活かせます。

外付けストレージを併用する場合の注意点

経理業務では、データのバックアップや過去の帳簿保管のために外付けストレージを併用するケースがあります。

この場合、外付けSSDを選べば、短時間でデータを退避させられるため作業効率が向上するでしょう。一方、外付けHDDはコストを抑えて大容量を確保できるため、長期保存用として適しています。

外付けストレージを使う際の注意点として、接続端子の規格を確認することが重要です。 USB 3.0以上の高速規格に対応していれば、大容量ファイルの転送もスムーズに行えます。

経理データは機密性が高いため、外付けストレージにもセキュリティ機能が付いたモデルを選ぶと安心感を持てます。

経理でよく使うソフトに必要なPCスペックの目安

経理業務では、Excelや会計ソフト、給与ソフトなど多様なアプリケーションを使用します。それぞれのソフトには推奨スペックがあり、必要な性能を満たしていないと動作が不安定になるでしょう。

ここでは、主要なソフトごとに求められるパソコンのスペックを具体的に解説します。

Excel業務で必要な性能

Excelは経理業務の中心的なツールであり、帳簿作成や集計作業で頻繁に使用されます。基本的な入力作業であれば、Core i3とメモリ8GBでも対応できますが、大規模なデータを扱う場合は性能不足を感じるでしょう。

数千行にわたる売上データや、複雑な関数を含むシートを扱うなら、Core i5以上とメモリ16GBが推奨されます。

Core i5の第10世代以降であれば、複雑なExcel業務もスムーズにこなせます。

ストレージもSSDを選べば、ファイルの読み込みや保存が高速化され、待ち時間のストレスが軽減されるでしょう。

会計ソフト利用に必要なスペック

会計ソフトは、データベースと連携しながら動作するため、一定のスペックが求められます。弥生会計やPCA会計、勘定奉行といった主要ソフトでは、推奨CPUとしてCore i5以上が指定されています。

メモリは8GB以上が推奨されており、複数の伝票を同時に開く場合は16GBが理想的です。 これらのソフトを使う際は、推奨スペックを満たしていないと処理が遅くなり、業務効率が低下する恐れがあるでしょう。

また、会計ソフトはSQL Serverなどのデータベースを利用するため、ストレージの速度も重要です。

クラウドERP・給与ソフトを快適に使うための要件

クラウドERPや給与ソフトは、ブラウザ経由で利用するケースが多く、従来のインストール型ソフトとは異なる要件があります。

ブラウザでの動作が前提となるため、特定のCPUメーカーに依存せず、Intel製でもAMD製でも利用可能です。ただし、複数のタブやウィンドウを開いた状態で作業することが多いため、メモリ容量は8GB以上が推奨されます。

クラウドサービスを利用する際は、ネットワーク環境も重要ですが、パソコン側の性能が不足していると画面の表示が遅くなることがあるので注意が必要です。

パソコン選びで失敗しないためのチェックポイント

パソコンのスペックを理解した後は、実際の使用場面を想定した細かいチェックが重要です。経理業務では数字の入力ミスが許されないため、キーボードの打ちやすさや必要な端子の有無など、実務に直結する部分を確認する必要があります。

ここでは、購入前に押さえておきたい三つのチェックポイントを解説します。

バッテリーの劣化度や駆動時間

中古パソコンを選ぶ際は、バッテリーの状態の確認が必須です。使用年数が長いパソコンでは、バッテリーの劣化が進んでいる場合があります。

持ち運びが多い場合は、販売店に問い合わせてバッテリーの状態を確認しましょう。信頼できる販売元では、バッテリーの劣化度や駆動時間に関する情報を提供しています。

法人として複数台を導入する際は、据え置き用とモバイル用で機種を分けることも検討するとよいでしょう。

キーボードの打鍵感・反応速度

経理業務では、数字や文字を大量に入力するため、キーボードの打ちやすさが作業効率に直結します。特にテンキーが搭載されているモデルは、数字入力の多い経理担当者にとって必須といえます。

中古パソコンを購入する際は、キーボードの状態を事前に確認することが大切です。キートップの摩耗や、特定のキーが反応しにくいといった不具合がないかチェックしましょう。

本体のキーボードが使いにくい場合でも、外付けデバイスを追加すれば快適な入力環境を構築できます。経理業務の生産性を高めるためにも、キーボード選びは妥協しないことが重要です。

必要な端子（HDMI・USB・LAN）が揃っているか

経理業務では外部モニターへの接続や、USBメモリでのデータ受け渡し、有線LANでのネットワーク接続が必要になる場面があります。

そのため、HDMI端子・USB端子・LAN端子が揃っているかを確認しましょう。特に法人では、セキュリティの観点から有線LAN接続を推奨するケースが多いため、LAN端子の有無は重要なポイントです。

USB端子は、マウスや外付けストレージの接続に使用します。経理業務ではUSBメモリでデータをやり取りすることもあるため、USB 3.0以上の高速規格に対応した端子があると便利です。

HDMI端子は、外部モニターを追加する際に必要です。経理業務では、複数の画面でExcelと会計ソフトを並べて作業することで効率が向上します。

コストとスペックを両立できる経理向けパソコンを選ぶなら

経理業務に必要なスペックを理解したうえで、重要なのは「どこで購入するか」という判断です。新品のパソコンは高額で予算を圧迫しやすく、複数台を導入する法人にとっては大きな負担となります。

一方、中古パソコンなら新品の半額以下で同等の性能を手に入れられ、コストを抑えながら業務に必要な環境を整えられます。