パソコンのベンチマークとは

パソコンの性能は外からでは判断しにくく、購入時にどれを選べばよいのか迷ってしまう方も少なくないのではないでしょうか。

その際の判断材料として役立つのが「ベンチマーク」という指標です。

ベンチマークの目的

パソコンは見た目だけでは性能の差がわかりにくく、カタログやメーカーの説明だけで判断すると自身の用途に合っていないモデルを選んでしまうかもしれません。

たとえば「動画編集に向いているのか」「情報処理の速さは快適か」などのポイントは実際に試してみないと判断が難しいものです。

そこで役立つのがパソコンの性能を数値化して客観的に示すベンチマークスコアです。ベンチマークはパソコンの性能を見える化できるため、目的に合ったモデルを比較しながら選べるようになります。

また、現在使っているパソコンがどれぐらいの性能なのかを把握し、買い替えのタイミングを判断する指標としても活用できます。

ベンチマークが必要な理由

パソコンは用途によって必要な性能が大きく異なります。

たとえば、インターネット閲覧や文書作成が中心なら高性能なCPUは必要ありません。ですが、3Dゲームや動画編集を快適に行いたい場合はより高いスコアが求められます。

こうした用途ごとの必要性能はカタログなどの説明だけで判断しにくいため、ベンチマークスコアを確認することが重要です。

スコアを見れば、今のパソコンの性能で十分なのか、より高性能なモデルが必要なのかが明確になります。

また、購入後に「思ったより動作が遅かった」「必要な処理がこなせなかった」などという失敗も防ぐことができます。

自身に合ったパソコン選びをするうえで、ベンチマークは欠かせない判断材料といえるでしょう。

パソコンのベンチマークで実力がわかる項目

ベンチマークの仕組みを理解すると次にどの項目をチェックすればよいのか気になる方もいるでしょう。

パソコンの実力を判断するうえでは、CPUの処理能力だけでなく、映像を担当するGPU、容量や速度に関わるストレージ、作業スペースとなるメモリなど複数の要素を総合的に確認することが大切です。

さらに、これらのパーツがバランスよく搭載されているかどうかも快適な動作に大きく影響します。ここからは、パソコン選びで押さえておきたい重要項目を順番に見ていきましょう。

CPU

CPUはパソコン全体の動作をコントロールする中心的な存在で、パソコンの頭脳とも呼ばれています。

CPUの性能が高いほどアプリの起動が速くなったり、複数作業を行ったりしても動作が重くなりにくくなります。

動画編集やプログラミングなど負荷のかかる作業は特にCPUのスペックが大きく影響します。

また、CPUの性能を測る際によく使われるのがシングルスコアとマルチスコアです。

シングルスコアは1つのコアだけを使ってどれだけ速く処理できるかを表します。インターネット閲覧や文書作成など、軽めの作業の快適さに関係します。

一方、マルチスコアは全てのコアを使って並列処理を行ったときの総合的な性能を表します。動画編集や3D処理のような負荷の大きい作業では、このスコアが高いほどスムーズに動作する傾向があります。

GPU

GPUは画像や映像の処理を専門に担当するパーツで、パソコンの中で映像をきれいに速く表示する部分になります。

CPUが頭脳ならGPUは映像処理のプロ選手といったところでしょうか。

GPUは映像の描画や動画再生の補助、3Dグラフィックの計算などCPUだけでは重い処理を肩代わりするパーツでもあります。

日常的なインターネット閲覧や文書作成などの軽い作業では高性能なGPUは必要ありません。しかし、ゲームや動画編集、3D制作のように負荷の大きい作業はGPUの性能が快適さに大きく影響します。

用途に応じてGPUの性能を確認することで、より自身に合ったパソコンを選ぶことができます。

ストレージ

ストレージとはデータを保存する場所のことで、パソコンの記憶庫のようなものです。写真・動画・アプリなど全てここに保存されます。

ストレージは大きく分けてSSDとHDDの2種類あります。

SSDは起動が速く静かで壊れにくいというメリットがある一方、容量が少なくすぐいっぱいになってしまうというデメリットもあります。

HDDはSSDに比べ起動が遅いといわれていますが、その分容量が大きく動画・写真など大量に保存できます。

パソコンの用途に応じて、SSDの快適さを重視するのか、HDDの容量の大きさを重視するのかを選ぶことが重要です。

メモリ

メモリは作業中のデータを一時保存しておくための領域です。パソコンのアプリを起動したり、複数の作業を行ったりするときに必要な作業スペースのような役割をもっています。

メモリの容量が大きいほど同時に多くのアプリを開いても動作が重くなりにくく、快適に作業が行えます。

反対に容量が不足しているとアプリの切り替えが遅くなったり、ブラウザのタブをたくさん開きすぎて動作が鈍くなったりする原因になります。

一般的なインターネット閲覧や文書作成、メールやYouTubeの視聴などであれば8GBで十分ですが、ゲームや動画編集などを行う場合は16GB以上あると快適です。

システム全体の快適さ

パソコンの使い心地はCPUやGPU、メモリやストレージといった個々のパーツ機能だけでなく、システム全体のバランスによって決まります。

どれか一つが高性能でも別のパーツが足りていないと動作が遅く感じてしまうことがあります。

たとえばCPUが高性能でもメモリが不足しているとアプリの切り替えが重くなり、反対にメモリが十分でもストレージがHDDの場合起動や読み込みに時間がかかることがあります。

パーツ同士がバランスよく搭載されていることが、快適に使えるパソコン選びのポイントです。用途に合わせてCPU・GPU・メモリ・ストレージの水準をそろえて選ぶことで、ストレスの少ない環境で作業ができます。

パソコンのベンチマークで押さえておきたいCPUスコアの目安

パソコンの選び方を考える際、どれくらいのCPU性能が必要なのかは気になるポイントです。用途によって求められる処理能力が異なるため、CPUスコアの目安を知っておくと選びやすくなります。

ゲームや動画編集のように高い負荷がかかる作業では強力なCPUが必要ですが、事務作業やWeb閲覧などは基本性能が整っていれば十分に快適です。

自分がどの用途を中心に使うのかを把握し、必要性能に合ったCPUを選ぶことが失敗しないコツといえます。

ゲームや動画編集

ゲームや動画編集はパソコンの中でも特に負荷が大きい作業です。快適にプレイしたり、編集作業を進めたりするためには、十分なCPUスコアが欠かせません。

一般的な3Dゲームや高画質の動画編集ではCPUのシングルスコア性能だけでなく、複数のコアを効率よく使うマルチスコア性能も求められます。

ベンチマークスコアが低いとゲームの動きの鈍さや編集時のエンコードに時間がかかる原因になります。

目安としてフルHD画質で快適にゲームを楽しみたい場合は中～高性能のCPUが必要です。

また、4K動画編集や高度なエフェクト処理を行う場合はより高いCPUスコアを持つモデルを選ぶと作業がスムーズになります。

事務作業

インターネット閲覧や文書作成、メールなどの事務作業はゲームや動画編集ほど高いCPU性能を必要としない作業です。

基本的なシングルコア性能がしっかりしていれば快適に作動することが多く、特別に高性能なCPUを用意する必要はありません。

ただし、複数のアプリを開いたり、ブラウザのタブをたくさん開いたりするとCPUへの負荷が高くなることがあります。

こうした場面でもスムーズに作業するためには、ある程度の余裕があるCPUを選んでおくと扱いやすいでしょう。

また、在宅ワークでWeb会議や簡単な画像編集を行う場合はやや性能の高いモデルの方が快適に利用できます。

普段からどのような作業が多いかをイメージしながら、無理に高性能なモデルを選ばず、自身の目的に合ったCPUを選ぶことが大切です。

Webサイトの閲覧や動画の再生

YouTubeの視聴やSNS、ニュースサイトの閲覧などの軽めの用途であれば、CPUの性能が極端に高くなくても快適に利用できます。

しかし、タブをいくつも開いて同時に作業したり、高画質動画を再生したりすると一時的に処理が増えて動作が重くなることがあります。

日常的に動画視聴が多い方やネットで調べものをよくする方は、少し性能に余裕のあるCPUを選ぶとストレスを感じにくいでしょう。

普段の使い方をイメージしながら、自身にとって無理のない性能のCPUを選ぶことが大切です。

自分のパソコンのベンチマークを測定する方法

自身の持っているパソコンの性能を知りたい場合、自身でベンチマークテストを行うことが可能です。

経年劣化などが気になる方は以下の公式サイトから無料で使えるソフトが入手できます。

• Cinebench
• CrystalDiskMark
• Heaven Benchmark
• UserBenchmark

ベンチマークテストを行うときは他のアプリは全て終了しましょう。バックグラウンドで作動しているウイルス対策ソフトもできるだけ終了させることをお勧めします。

電源プランは高パフォーマンスに設定し、ノートパソコンの場合は電源に接続したまま測定します。

また、パソコンが熱くなっていない状態で測定しましょう。パソコンが熱くなっていると性能が制限される可能性があるため、一定の状態を保つことが重要です。

パソコンの性能はベンチマークスコアだけで判断しないことが大切

ベンチマークスコアは性能を比較する際の便利な指標ですが、あくまで目安であり数値だけで判断することはできません。

実際の使用環境やアプリとの相性によって体感速度も変わってくるため、スコアよりも自身の用途に合っているかが重要になってきます。

ベンチマークは特定の状況下で測定された結果なので、普段の利用シーンと異なる場合があります。スコアが高くても実際の使用感が快適とは限りません。

たとえばゲームや動画編集など普段よく使う用途で動作を確認することが大切です。スコアが高くてもアプリの動作が重かったり、もたついたりすることがあります。

性能が高くてもパソコンが常に熱をもったり、突然フリーズしたりなどの症状があると快適には使えません。こうした実際の使用感はベンチマークスコアだけでは測れない部分です。

ユーザーのレビューやYouTubeの実機検証動画などをチェックすると、スコアだけではわからない情報が得られます。使用感・トラブルの有無・耐久性なども総合的に判断材料にしましょう。

パソコンの性能を判断するポイント

パソコン全体の使い心地はCPUだけでなく、複数の要素が組み合わさることで決まります。どれか一つが高性能でもほかのパーツが不足していると動作が重く感じることがあるため、全体のバランスをみることが大切です。

さらに冷却性能や静音性、将来的な拡張性や耐久性、実際の操作感なども快適さを左右する重要な要素です。スコアだけでは分からない部分も確認しながら、自分の使い方に合ったモデルを選ぶことが失敗しないポイントといえます。

冷却性能や静音性

パソコンは作業中に内部のパーツが熱を発生させます。特に高性能なCPUやGPUを搭載したモデルは発熱量が大きいため、適切に冷却できないと性能低下やフリーズ、最悪の場合は故障につながることもあります。

また、薄型でスタイリッシュなノートパソコンほど冷却構造が制限されやすく、長時間負荷をかけたときに温度が上がりやすい傾向です。

パソコン内の温度が上昇するとファンが高速回転し、ノイズが目立ちやすい状況になります。

同じベンチマークスコアのパソコンでも、静かに動作するモデルとファン音が気になるモデルに分かれるケースも見られます。

自宅やオフィスで静かな環境を重視する方は、レビューで温度や騒音の評価も確認すると安心です。

拡張性と耐久性

パソコンを長く快適に使うためには購入時の性能だけでなく、拡張性と耐久性も重要なポイントです。まず拡張性とはメモリやストレージなどあとから追加・交換できるものを示します。

メモリスロットに空きがあるモデルやストレージを増設できるタイプなら、将来作業量が増えても柔軟に対応が可能です。長期間使用する予定がある場合は拡張しやすい構造かどうかチェックしておくと扱いやすくなります。

また耐久性においても冷却が不十分だったり、負荷がかかりすぎたりするとパフォーマンスの低下につながりやすい状況です。

長時間の作業を行う方や高負荷の処理を行う方は、通気性の良いモデルや熱がこもりにくい構造のモデルを選ぶことで性能が安定して保ちやすくなります。

こうした拡張性や耐久性はベンチマークスコアでは判断できない部分ですが、日常的な使いやすさや長く使えるかどうかに大きく関わる重要なポイントです。

実際の使用感

パソコンの性能はある程度ベンチマークスコアで比較できますが、最終的には実際の使用感が重要です。

同じスコアでも複数のアプリを開いたときの快適さやゲームの動き方、動画再生の滑らかさなどは設計や構造の違いによって異なる場合があります。

特に発熱しやすいモデルは熱によって性能が低下し、ベンチマークスコアほど実力を感じられないケースもあります。

また起動の速さやアプリの立ち上がり、切り替え動作のスムーズさなど日常の操作感もスコアだけでは判断できないポイントです。

レビューや実機検証動画などを参考に普段自身が行う作業が快適に動くかどうか確認することが大切です。

ベンチマークを参考にして自分に合ったパソコンを見つけよう

ベンチマークスコアはパソコン選びにおいてとても便利な指標です。用途に合わせて必要なCPU性能や処理能力を把握することで、自身に合ったパソコンを選びやすくなります。

ただしスコアだけでは判断できない使用感や冷却性、拡張性なども選ぶうえで大切なポイントです。

ベンチマークスコアを参考にしながら、普段よく行う作業が快適に動くかどうかを総合的に判断することで、納得して使えるパソコンに出会えます。